第37回 高次脳機能障害 <高次脳機能障害の老老介護>

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脳外科医から見た高次脳機能障害 特別寄稿

クリニックいわた医師(脳神経外科)
同志社大学非常勤講師(社会福祉学科)
安井 敏裕

第38回 高次脳機能障害 <高次脳機能障害者への連続したケア>

2022.03.05

来る第25回日本臨床救急医学会総会・学術集会(2022/5/25日〜27日、大阪国際会議場)で行われるワークショップの1つ「頭部外傷後の高次脳機能障害~それぞれの立場から~」において「脳外科医の立場から」というタイトルで発表するように依頼を受けました。 私以外には救命救急医、言語聴覚士、ソーシャルワーカー、患者会などの立場の方々からの発表もあります。 頭部外傷を受けた患者さんが急性期病院での治療が終了後どのような経過をたどり、どのような支援に繋がり、どのようなところに悩みや課題を抱えておられるのかを、それぞれの立場から発表し討論することによって共通の認識を持とうという趣旨だと思います。

私のように高次脳機能障害と関わっていると言っても、「診断」しか行っていない者がこのような全日本の大きな学会で発表してもよいのかという場違い感も多少は感じますが、日頃感じている疑問点を他職種の方々と討論する良い機会と考え発表することにしました。 本学会は主に救急医療に関わっておられる医療従事者の為のものですが、高次脳機能障害を有する患者さん達が、急性期以降にどのような経過を取っておられるかを知ることは救急医療を担っておられる方々にとっても有用なことだと思われます。 高次脳機能障害は私のような一脳外科医が対応できるような生やさしい障害ではなく、「多職種チームアプローチ」が是非必要だと日頃から感じています。 どこで相談すればよいか分からない、どこにも受け皿がないという当事者たちの訴えは、現代でも聞かれます。 あるべき連携がちぎれてしまっているからに他ならないからです。多くの専門職が関わることで連続したケアを受けることが重要です。 様々な脳疾患の結果、高次脳機能障害という診断・治療を受け、その後の社会生活に向けて適切な医療と福祉の連携により正しいサービスの提供がなされることが必須だと思っています。